好きな色、自由に
私が初めて日本から外へ出たのは高校生の時
オーストラリアのアデレードという地域の”ド”がつく田舎にホームステイをしていて、隣の家はなく、家裏に牛がいて、玄関前に小さい川が流れていて、そこに「Caution!クロコダイル注意」の看板が立っている、そんなファンキーな家族と一緒に暮らしました。
余談" 本当に川にクロコダイルがいると信じきって(疑う余地もないような自然環境だったので)本気でビビったことから「Caution!」は2度と忘れない英単語に
”日本の文化”と”自分の家庭”がスタンダードになっていた当時の私は、
その家族との出会いで、今までの価値観をことごとく崩してもらいました。
写真:Australiaのホーム 持ち込んだ自転車を倒して座りながら電車を待つ少年
日本に帰国して母親に言った一言、今でも覚えているのですが、
「お母さん、もっと手を抜いて、楽に生きようよ」でした。
固定概念にとらわれず、無理をしない、いい抜き加減を知っていて、その上クリエイティブな自由さと、本能に身を任せて選択している、そんな生き方を知ってしまった私にとって、日本に帰ってきて見える世界は「not simple」みんな頑張って完璧を目指そうと自分の首を絞めて、物事を複雑にしている感じ。
その頃から「シンプルに、自由に、本能に身を任せて」と生きることが心に芽生えはじめ、ゆっくりとそのDNAが体を巡り出した結果、今この場所に辿りつき、この生活をしているのだろうと思います。
壁を塗る作業をはじめながら、この作業の中に、「シンプルに、自由に、本能に身を任せて」という言葉を感じます。
何色にも染められる白い壁、賃貸の家で生活していた頃は、わかっていても手をつけられなかったこの壁に、好きな色を塗れる喜びが、「シンプルに、自由に、本能に身を任せて」に通じて心地良い。
そうとは言っても、時間はかかるし、服は汚れるし、手や腰も痛くなったりするので、時間の余裕がない人、自分の手を汚したくない人、面倒くさがりやな人は、非効率な時間(プロがやってくれた方が綺麗だし時間もかからないし)かもしれないです。
効率とか一切合切の余計な考えを捨てて、自分で作業をするからこそ、あーでもないこーでもないと色を試し塗りしながら、ニュアンスを見て、どの色にしようなんて話す時間が一番楽しいわけで、
色さえ決まれは、あとは上手な塗り方とかに縛られず、豪快に塗って、塗り終わった壁を腕組みしながら「やっぱり、いいね〜」なんて会話するような、私たちにとって”しあわせ”な時間が訪れます。
最近読んだある本の言葉に、背中を少し押されました。
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何より自分に頼る人が、誰よりももっているもの、それは「自由」である、ということはまちがいなさそうです。
それにしても、人のしあわせって、本当に、何なのでしょうね?
何をしているときに、心底、しあわせを感じるのか?
究極的に何がいちばんしあわせなのか、と根気よく追い求めていくと、最後には、自分頼りにする生き方ともつながっていると思うのですが、いかがでしょうか?
服部みれい
わたしの中の自然に目覚めて生きるのです ―あたらしい暮らしのちいさな魔法
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