春の郷土料理を作ってみたら未来が見えた。
「春は苦味を盛れ」なんて言葉は、ここに住むまでよくわからなかった。
日本古来から伝わる言葉の意味を「なるほどね〜」と肌で感じること、
大人になって学びが増えることほど嬉しいことはないです。
春の食材の扱い方も2年目になれば、楽しめるようになりました。
「ぐつぐつぐつ」仕事を終えて家に帰るなり鍋に湯を沸かす。
「ぐいぐいっと」米をといで、そのとぎ汁を別の容器に残して、
「さぁっと」作業台に新聞紙を広げて、いざ入刀!
「筍は採れたてね!」って言葉の意味も理解できたのは、もちろんここに住んでから。
昨年は、とんでもないものをもらってしまった・・としかめ面で格闘してたのが、
今年は、「さくさく」食べられる形に整え、美味しく食べる方法を考える余裕ができています。
この日の筍はついさっき彼の仕事場の近くで採れたばかりだったらしく、灰汁抜きも簡単。
この夜は、ちょうど「さどごはん」という郷土料理のレシピ集をもらったところだったので、
佐渡産の筍で、佐渡の味に挑戦。
「採れたて筍のきんぴら」隠し味のラー油と紫でグッと味深まる・・・
レシピに書かれた材料の中にラー油と昆布茶を発見。
きんぴらにラー油か〜 昆布茶ないけど紫とか代わりにどうかな〜 と想像を巡らせて調理する。
できあがった筍のきんぴら、まだ他のおかずができてないから食べるわけにはいかない・・
「このきんぴらバター使った?」筍の中に眠るバター風味との出会い。
夕食のメニューが一通りできたので、さてさて実食です。
筍きんぴらを箸でつかみ、口に入れた彼から思わずこぼれた一言「このきんぴらバター使ったの?」
「いやいや〜ごま油ならまだしも、バターなんて使ってないよ」と切り返した私も一口食べて思わず
「おっ?」 「バターみたいなまろやかな甘み」
本当についさっき採れたばかりだったからなのか、灰汁抜きの加減が上手くいったからなのか、
絶妙な味わいになった筍。竹に旬と書いて筍。なかなか奥が深いです。
手間のかかる野菜ほど楽しいと感じる変化への驚き。
ちなみにこの日の「春の苦味」はもう一品。
沸かしたお湯で10分茹で、そのまま水に晒し、途中で水を取り換えながら半日ほど置いておいた水蕗。
美味しく食べるための手間が楽しいと思える自分の考え方の変化につくづく驚きます。
東京にいた頃はトマトみたいに洗って丸ごと食べれる野菜以外は、めんどくさな〜と感じて気が・・
お酒のアテ、翌日のおにぎりの具材にもできる「伽羅蕗(きゃらぶき)」
さて我が家のおかずの基準は、お酒と翌日の昼食への活用。
そんな万能なおかず「きゃらぶき」をはじめて作ってみました。
これもまたレシピはシンプルだけれど、分量で我が家の味ができるんだろうなぁ〜とまた楽しくなる。
うちの母ちゃんの「伽羅蕗」はもっと甘くて美味しいんだ・・なんて言われる日が来たらいいな。
地域の食材との出会いが、新たな自分の発見になることにもなる。
郷土料理を知って実践する中で、未来を想像して楽しくなる。そんな日常。 SADO TALK